とんでもない日

今日の予定は

8時から16時半まで家で働いて

16時56分に家を出て歯医者へ行き、

そのまま品川駅に向かい新幹線に乗り、

三重県へ向かうというものでした。

 

きちんと16時半にあがれるのかという不安などもありましたが、予定としては上記の通りでした。

 

思い通りにならないのが私の人生です。

 

パソコンの充電器を会社から持ち帰るのを忘れていました。

朝、いくら探しても見つからず、やらかしていることに気が付きました。

しかしまあ、今のところ充電は満タンだし、今日はレポート作成の業務しかないので8時間くらいは持つのではないかと考えました。気を取り直して仕事に取り掛かりました。

きちんと節電モードにし、昼休みには電源を落とし、表示されるバッテリー残量と残り時間を何度も確認しました。

15時半の段階でバッテリーは10%になりました。残り時間は約1時間と表示されています。ギリギリ間に合うはずです。

仕事の終わりには、上司にメールで日報を出すことになっています。それまでバッテリーが持つのか、少し不安になったので、先にメールを作成しました。

「これって予約送信とかあるのかな…」

と、機能を探そうとした瞬間、電源が落ちました。

残り1時間というのは、パソコンの見栄だったのです。

私の呼吸が乱れ始めました。

メールが出さなければ私は今日一日何もしてないことになります。いや、無言で日報を出さないという選択肢はありません。そして、充電器を持ち帰り忘れ日報が出せないということを報告する選択肢もありません。

私は、本当に本当に怒られるのがいやです。

 

充電器を買うしかないと思いました。

今は15時40分。16時半の終業までになんとか充電器を手に入れなければなりません。

背に腹は変えられない。私の好きな言葉です。

窮地に陥ったときは、この言葉を唱えて何とかしてきました。

 

近くの電気屋を調べると家から600メートルの所にあるようでした。Googleマップの評価は星一つでした。ものすごく評判の悪い店ですが万が一ここに充電器があれば、全てがうまくいきます。

リュックにパソコンを詰め、エアコンと電気を消しました。快適な部屋にさよならです。今から私は、闘うために出かけるのです。

 

チャリをかっ飛ばし向かいましたが、結論から言うと充電器はありませんでした。そこはパナソニックの家電しか扱っていませんでした。

駅前の駐輪場(1時間まで無料、それ以降は1時間ごとに110円)にチャリを止め、電車で隣駅まで行くことに決めました。

 

隣駅に着き、まずはドンキの最上階にある電気屋さんに向かいました。

ちいさなガーゼマスクを顔の中央に配置している店員さんに話しかけ、パソコンのバッテリーが欲しいと伝えました。お取り寄せするしかないと言われました。

次にマルイの中の電気屋さんに行きました。

ここはGoogleマップの評価が良いです。店員さんもたくさんいました。ただ、なかなか話しかけられません。内心めちゃくちゃ焦っているのに、なぜか焦ってない感じを装ってしまっています。見栄っ張りな自分が嫌になります。というか、忘れ物をしたり集中力がなかったりゆるふわな自分、なんとかなりませんかね。

 

「パソコンのことはお任せください!」というポスターが貼ってありました。なんと心強いんでしょうか。意を決して店員さんに声をかけました。

 

バッテリーは、ありました。ただ、純正品ではないのでずっと使うとパソコンが傷んでしまう可能性があるとのことでした。

構いません。いまが凌ればいいのです。

買いたい旨を伝えました。

 

お店のアプリを入れると10%引きになるそうなので、登録することにしました。登録している間店員さんに「無くしちゃったんですか?」と聞かれました。怠惰な私が見透かされたのでしょうか。「いや、今の充電器がなんか調子が悪くて…」とまた見栄をはってしまいました。

 

購入の手続きをしている間、充電させてもらったので、買いおわった後そのままマルイの非常階段で日報のメールを送りました。終業時間は少し過ぎましたが、許容の範囲でした。

 

完全犯罪は成し遂げられました。

正直、メールが送れたので、もう充電器はいらなくなってました。

 

地元の駅に着き、チャリを取ろうとすると、110円請求されました。

 

これから私は三重県に行きます。

安全に気をつけて、楽しんできます。