わたしのこころの中での一人称は
おいらです。
いや、その表現は正確ではありません。
厳密にいうと、
おいらが居ます。こころの中に。
ときどき、おいらはわたしに話しかけてきます。
例えば、寝る前とか、暗い部屋にはいったときとか、お風呂の前に服を脱いだときとかです。
なにかの作業がおわったときが多い気がします。
それから、おいらが話しかけてくるのは、大体家の中です。外でおいらを感じたことはありません。
外では、わたしは、歩いて、階段を上って、授業をうけて、なんやかんや忙しくしているからでしょうか。空気が読めるおいらです。
1日のおわり、寝る前に、おいらが話しかけてきます。
「おいらっ、おいらッ…!!」
おいらはなんだかいつも必死そうです。可愛い声です。
切羽詰ったような様子なので、わたしは掛け布団の用意をやめ、落ち着いておいらの次の言葉を待ちます。
「なあに?」とも言いません。ただ黙って待ちます。
おいらは何も言いません。
「おいらっ!おいらッ!」といったきり、黙ったままです。
わたしは寝るしたくを再開します。
おいらはときどき話しかけてきますが、なにか中身のあることを伝えてきたことは一度もありません。
「おいらっ、おいらッ…!!」
と構って欲しそうに言うきりです。
なぜ、おいら、と言ったあと言葉が続かないかというと、それは、わたしに想像力がないからです。
おいらの伝えたいことが、おいらの先に続く言葉が、わたしには想像できないのです。
今日実感したこと
(不安があるから安心がある)